ほぼ日刊イトイ新聞の本。新しいことを始める時のワクワク感が満載。

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“クリエイティブがイニシアティブをとる”

何度となくこの本の中に出てくる言葉。この本自体2001年に出版された本なので、もう10年以上経っている。(写真は文庫版で2004年出版)それでも、この言葉は新鮮だったし、とても強いエネルギーみたいなものを感じる。今でいう、「刺さる」ってヤツだ。ブログなどの個人的な作業に時間を投資する理由。その理由もこの一言で説明がつく。出会えて嬉しかった表現だ。

1990年代、バブル崩壊という景気の悪さもあり、企業が広告の内容を決定するプレゼンテーションの際に、広告の内容の優劣ではなく、価格など他の要因で決定されることが多くなっていた。その結果、広告を作成するディレクターやデザイナーが衰弱し、大きな不満を持っていた。やりたいことがやれない。そういった状況があり、「本当に自らのイニシアティブでやりたいことをやれる場を作ること」、「やりたいことで食べていけるようにすること」という2つのことを 心の底から実現したいと糸井さんは思ったそうだ。

そのことを考えていたタイミングで、インターネットというものに出会う。そこでは、情報を発信する者と受け止める側が直につながっている。興味や関心、個性などをひっくるめたまるごとの人格同士が交流していた。「人間は経済行為だけ動くものではなく、損得だけで動くものではない。身銭を切ってでも何とかしなければいけない、何かをしたいというものを、みんな持っているんだ」ということを感じることとなる。また、電子メールについても、好きな時に他人に発信できる新しいコミュニケーションツールとして、初々しく語られている。

「やりたいことをやる」という想いと、「情報の発信者と受信者とが直接つながる事ができる」というツールとが組み合わさり、ほぼ日は誕生した。糸井さんが49歳のときだ。

これは本の冒頭部分。その後には、サイトを立ち上げる際の学校の文化祭の準備のような忙しくも楽しい時間、新しいことに挑戦する時の興奮がいっぱい詰まっている。この本のいいところは苦労もきちんと記されていること。リアリティーがあって伝わってくるものがある。

やりたいことがなく困っている方は、この本を読んで新しいことを始める時のワクワク感を味わって欲しい。ただ、楽しいだけはないよという現実も忘れないようにしたい。継続こそが大事。やりたいことが見つかっている人は、この本を読んで、それを始めた時の熱い想いを忘れないようにしたい。忘れかけていた何かが取り戻せるかもしれない。

年齢など関係ない。夢中になることがあるって本当に幸せ。

 

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