梅原大吾・勝ち続ける意志力。好きを続けるための気持ちの持ち方。
2013/01/13
プロゲーマー梅原大吾さんの半生とその時々で考えたり、感じたりした事が記された本。
これを読むきっかけは単純にプロゲーマーってなんだ?という疑問解消と、
昨年のAmazonの2012年の新書ランキングで7位となっており、
皆が惹かれる「何か」があるんだろうということで手にしてみた。
「ゲームでここまで努力してるとはすごい」という感想ももちろんあるし、
そこに着目されがちだが、私としてはこの本を読み終えて一番いいと思ったのは、
好きな事を続けるための気持ちの持ち方だ。
好きな事を見つけられるだけでも、とても幸運な事だと思うし、
むしろ見つけられずに何となく人生を終えてしまう方が多いように思う。
幸運にも見つけられた場合、今度は何を目指すのかといったゴールの設定が難しい。
そもそもゴールなんてない一生続く何かなのかもしれない。
あまりに大きなゴールを設定してしまうと、結局何もできないまま終わってしまう。
それは本当に持ったいない事だ。
自分自身もずっと考えてきてようやくこうじゃないかなと思っていた事があるが、
それが梅原さんと共通していた。
それは、自分の成長を目的とする事だ。
大きな事を成し遂げられないかもしれない、人と比べると対した事ないかもしれない。
大事なのは、昨日の自分と比べて成長してる事を感じられることだ。
梅原さん自身、世界チャンピオンになったにもかかわらず、
一度ゲームの世界から離れ、麻雀の世界に身を投じている。
時間が経過してもゲームの世界があまりにメジャーな存在にはならず、
また歳を重ねるごとにゲームに向き合えなくなっていく。
これ以上成長がないと思うようになりゲームから麻雀へカテゴリーを変更した。
麻雀の世界でも努力を重ね、日本屈指の実力者になるが麻雀の世界からも離れる。
理由はゲームを辞めた時と同じだ。
その後、介護の職を経験をした後、またゲームの世界に戻ってくる。
誘われたのをキッカケに「面白ければいいか」 という気持ちでゲームをやってみたところ、
ブランクがあるにもかかわらず、次々と対戦相手に勝利することができた。
自分には特技があるということが改めてわかるのと同時に、
以前とは違う気持ちでゲームと向き合えていることに気づいた。
以前は勝つことを目的としていた。
大会で負けた時には自分の努力が足りないと自分を痛めつけた。
気持ちが乱れていた。
しかし、それでは勝てない。
無理をすると、好きなものを続けることさえできない。
麻雀、介護と回り道をしたから「勝利」を目的としてはならないと気付き、
気持ちを正常な状態に戻すことができたのだ。
大会はあくまで日々の練習を楽しんだり、
自己の成長を追求している人間が、お披露目する場所。
目的はあくまで、自己の成長、人生の充実。
冷静に考えればわかるし、当たり前のことのようにも思う。
しかし、大人になるにつれ、結果や数字にこだわるようになるし、
こだわれと言われるようになる。
何かを始めるときには目標設定として具体的な成果を定義する。
それ自体は間違っていないと思う。
しかし、それ自体を目的としてはいけないのだ。
目標と目的を取り違えると最初だけ頑張って後が続かないとか、
1回限りの奇抜なことをやってその後何も出来ないとかロクな事がない。
目標はあくまで目標。
目的は自分の成長。
日々継続して物事を続けることのほうが大事なのだ。
好きな事を始める時には、
「こんなふうになりたい、こんなふうにしたい」
という憧れのような気持ちも大事だが、
結果的にそうならなくても、それを目指すことで自分が成長していることを楽しんでいきたい。