為末大・走りながら考える。成長するために捨てるもの。

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走りながら考える

400Mハードル、世界陸上2度の銅メダリスト。大きな事を成し遂げ、さぞ充実した競技生活だろうと考えていた。しかし、どうも違ったようだ。高校で後輩に負けたことをキッカケに100メート走からハードルへ転向。世界選手権で銅メダルを撮ったものの、1番をとれるイメージはない。ピークを過ぎた後の老いとの戦い。本人からすると、満足のいくものではなかったのだろう。本の中でも、ネガティブな言葉が多い。負け、挫折、夢は叶わない。それでも結果を残すために必死になって自分と向き合い、考えてきた。それをまとめたのがこの本だ。

苦労人の話は共感できる。人生そうそう上手くいくものではないので、みんなそうだよねというある種の安心感を得られるし、その中で工夫したことは自分にも参考にもなる。本書は64の話題で構成されているが、今回はその中で大事だと思った考えをを一つだけ書いておきたい。(誰かのためというより自分のため)

どうでもいいこだわりを捨てる
自分の成長を目的とした場合に、それを邪魔するものがある。
プライド、見栄、過去の栄光・・・それらを大事にすると、言い訳ばかりが上手くなるのではないかと思う。自分を守ることに力を使い、成長に活かせない。
例えば、仕事などで後輩に質問ができないということもその一つ。年上、先輩なんだから知っていないとおかしいと思い込んで、聞けずに悩み続けるということもあるのではないだろうか。成長を目的とするならば、そんな思い込みなんて本当はどうでもいいこと。学ぶ機会を失っているのだ。大事なことは年齡ではなく、それについてどれだけ知っているかということ。変なこだわりを捨てて、自分の成長に力を注いでいきたい。

最後にこの本を読んでの全体的な印象だが、先日書いた梅原大吾さんの本ととても考えが似ていると思った。というよりも努力家型の人の本は似てくる傾向がある。為末さんの言う「1番を目指すことをモチベーションに使う」という表現は、梅原さんのいう「日々の成長を感じることが幸せ」といえるし、日々何か新しいチャレンジをするということを勧めるところも似てるなと。人間苦しんで、そこから生まれる考えっていうのは共通してくるものなんだろう。

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